私にとっての「魔女」とはというお話です。
垣根の上の女の話について思うこと
薬用植物園で植物のお世話をする仕事をしていた時にいつでも強く感じていたことがあります。とても逆説的な話になるのですが、植物園にいた植物たちはみんな薬効をもつ植物たちばかりでしたが、植物は薬効のような理学的な意味で人を癒しているだけではなく、薬効があってもなくても、その存在そのものがいつでも人を癒しているということです。ですので、植物の薬効だけを商品のように切り取ることにはとても違和感を持っていて、植物の力を借りることがあっても、前提としていつも植物の存在そのものに敬意を持っていたいと思うのです。ドイツ語のHexe(ヘクセ)は、「魔女」という意味を持ちます。中世のHexeは植物に造詣が深く、植物の力を借りることで、悩みを抱えた人々を癒していました。Hexeにはもう一つ意味があります。それは、「垣根の上の女」「垣根を越えていく女」という意味です。ここでいう垣根とは、庭と森の境であり、生と死の境であり、見えるものと見えないものの境のことを指します。Hexeはいつも垣根の上に座り、あらゆる境を超えて自由自在にあちらとこちらを行き来していたのです。Hexeのように、植物の力を借りるだけではなく、あらゆるものの境を超えていけたらいいなと思っています。
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