波多野ゆふ

植物研究家

季節の植物観察会、足元に自生する薬草や自家栽培の薬草を使った、コスメづくりやお手当の講座などを開催しております。

足元の植物と共にある穏やかな暮らしをご提案しております。

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Kigi 波多野ゆふ

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能力を捨てることで生き延びる植物

春めいてきてお散歩が楽しい季節になりましたね。我が家のすぐ近くにある神社にお散歩に行きました。今日は、綺麗に掃き清められた境内に生える、「神社仏閣型矮性(じんじゃぶっかくがたわいせい)」と呼ばれる植物のお話です。植物は発芽する時や成長する時の環境に応じて自分の体の形を変える仕組みを持っています。葉が虫に食べられたらそのすぐ近くの場所に新しい葉を発生させたり、あるいは日陰の植物は日の当たる方に曲がるように体の形を変えていきます。同じ種類の植物であっても、鉢の中の限られたスペースに種をぎゅうぎゅうに蒔かれて発芽したものと、広い畑に一粒だけ種を蒔かれて発芽した植物は、成長した時の大きさが違います。前者は小さな体に、後者は大きな体になります。そして、小さく鉢の中で小さく育った植物は、その後地植えしてあげれば体を大きく成長させることもできます。このように、植物が環境に応じて体の形を変える性質を「可塑性(かそせい)」といいます。ただし植物はこの可塑性をいつでも発揮するわけではありません。植物は何らかの性質を維持したり発揮したりする際に、それが自身の成長や種の保存にとってプラスになるかならないかを常に計算しています。植物が可塑性という性質を発揮するには、自分自身の置かれた環境を把握する仕組みと、把握した情報を基に体を変えていく仕組みが必要なのですが、このふたつの仕組みを維持していくにはエネルギーを要するため、生きていくために性質を発揮・維持していくメリットよりも、コストが上回るような場合は、進化の過程でその性質は失われていくことになります。自然界において土壌の状態や日当たり、発芽環境は一定ではないので、どんな植物であっても基本的には自身の体の大きさを変える可塑性(サイズの可塑性)を備えています。しかし、サイズの可塑性を進化の過程で放棄した植物がいます。日本では神社仏閣で通常のサイズよりも特に小さなサイズのオオバコが見られます。このようなオオバコは「神社仏閣型矮性(じんじゃぶっかくがたわいせい)」と呼ばれています。神社仏閣では掃き掃除が頻繁に行われるため、枯葉が土に還り次の世代の植物の養分になるというサイクルは失われています。そこで育つ植物は貧栄養の環境であるので小さく育ち(栄養が少ない場所では植物は自身の枝分かれをわざと制御してこじんまり生きていこうとします。たくさん枝分かれをするとその先に葉を作ったり花を咲かせたりというたくさんのエネルギー消費が待っているためです。)、さらにひんぱんにホウキをかけられるのでストレスがかかり大きく育ちません。神社仏閣に育つオオバコのなかには、こうした生活が何百年と続く中で、サイズの可塑性を放棄するタイプが現れました。サイズの可塑性を持っていても発揮するような場面がないため、維持していくコストのほうが高くつためです。神社仏閣型矮性のオオバコは、境内から畑に移し替えられたっぷりと肥料を与えても大きく育つことはありません。使う機会のない「サイズの可塑性」という能力を維持していくことに大きなエネルギーを使い、残されたエネルギーで生きていくよりも、最初からその能力を放棄して生きていく方が理にかなっているというわけです。私たち人間はよく「備えあれば憂いなし」といいますが、植物界にこの言葉は当てはまらず、備えておくエネルギーの方が備えておく利益を上回るような場合、植物は備えを放棄するということです。能力を放棄することで生き延びる植物もいるというところがとても興味深いですね。※写真は神社仏閣型矮性植物ではなく、チチコグサモドキのロゼットです。**************5月スタートの植物講座2022では、この「植物の可塑性」についてもお伝えします。知っているようで知らない植物の体の仕組みを知ると、植物が今までと違った姿に見えてきます。植物講座2022はただいま準備中です。こちらからプレ告知をご覧いただけます。

【 終了しました 】植物講座2021 湘南・鎌倉クラス

※ 現在湘南・鎌倉クラスは満席となっております。ZOOMを使ったオンラインクラスと動画クラスは随時募集しております。オンラインクラスはこちらから、動画クラスはこちらからお申し込みください。足元に生えている植物について学び、感じ、暮らしの中でその力を借りて心と体を整え、植物と共に穏やかに暮らしていくための講座です。植物講座2021 湘南・鎌倉クラスは、午前の「座学」と午後の「体験」で構成されています。▶座学植物の葉はなぜ緑色なのか、花はなぜ咲くのか、種はどのタイミングで芽を出しているのか。日ごろ植物を目にする機会は多くても、実は知らない植物の世界。植物がもつ色や形、花が咲いたり葉が枯れるのにはすべて理由があります。そのわけを知ることは植物の生き方を知ること。そんな植物の生き方についてわかりやすくお伝えします。植物の色や形に秘められた秘密を知ると、足元にとても豊かな世界が広がっていることに気が付くと思います。そんな、知っているようで知らない植物の世界のお話を分かりやすくお伝えします。また、植物を見分けていく必要があるとき、植物の専門家はどこを見て見分けているのでしょう。植物を見分けるには、フォーカスするべきポイントがあります。そんなお話もします。そして、私たち人間が生きていくために動植物などの生き物の助けを借りているのと同様、植物もほかの様々な生き物の助けを借りて生きており、その繋がりを知ることは私たちの生きている世界についてより深く知ることだと考えます。植物と虫や、植物と菌類、そして森と海はどんな風に繋がっているのでしょう。また、植物や私たちと月と太陽はどんな風に関係しているのでしょう。植物と自分を含めた世界の繋がりを知り、感じるようになると日々の暮らしが楽しくなります。植物講座2021の座学は、単なる植物の「利用法」ではなく、植物の生き方や、私たち人間とも繋がっている、植物を含めた世界を知る講座です。知ると毎日の暮らしの中で目に映る景色が変わってきます。そしてそんな暮らしはとても楽しいです。▶体験季節の植物を観察したり、季節の植物の力を借りて心と体を整える講座が中心となります。足元に生えている植物を使って自分の手でオイルやティンクチャーを作ったり、心と体を整える方法を体験しながら学びます。暮らしの中で植物の力を感じて生きていくことは、理屈ではない大きな安心感に繋がると感じています。【 鎌倉クラス  】▶会場ANAN邸はなれ

よもぎオイルづくり

足元に生えるよもぎを使ってオイルを作る動画クラスです。よもぎについての座学の後、オイルづくりのデモンストレーションになります。よもぎは日本の薬草のイメージが強いですが、海外でも古くから人々の暮らしと共に在った薬草です。よもぎは日本のご神事をはじめ、ヨーロッパでも夏至の日に登場し、人々の祈りと共に在る「霊草」でした。よもぎは、同じ株でも季節によって葉や茎の姿を変えます。また、植物の中で最も進化した科だといわれるキク科の中でも、よもぎの進化の歴史は他と違ってとてもユニークなものがあります。そんなよもぎの生態や歴史、日本を含む世界各地で「霊草」とされてきた所以についても詳しくお話します。足元に生える素敵な草、よもぎを知り、その力を借りて心と体を整えることができます。よもぎオイルの作り方、レシピを含む詳しいテキスト付きです。「よもぎオイルづくり」プログラム〇日本のヨモギ属〇世界のヨモギ属〇ヨモギの様々な名前〇生態-葉〇生態-花〇生態-地下茎〇歴史-霊草としてのヨモギ(中国、日本、アイヌ、ヨーロッパ)〇薬効〇よもぎオイル作り方お申し込みから30日間は何度でも動画を視聴していただけます。「よもぎオイルづくり」動画の予告編ご視聴、ご購入はこちらからお願いいたします。

2020年度薬草講座(2020.5~2021.2まで開催) オンラインクラス

2021年2月まで開催のクラスです。座学とデモンストレーションを中心とした、ZOOMを使ったオンラインでの講座となります。足元に生えている身近な薬草について感じ、学び、暮らしの中でその力を借りて心と体を整え、薬草と共に穏やかに暮らしていくための薬草講座です。(単回での受講も受け付けております)植物の学びはすなわち山や海、虫や鳥、土や微生物、月や太陽についての学びです。それらの全てが繋がっており、私たちはその繋がりの中で生きています。Kigiの薬草講座は、薬草の活用法だけではなく、薬草も含めた「大きな繋がりの中のわたし」を意識して暮らしていくためのプログラムになっております。▶開催日、プログラム、料金① 5/19(火)、5/23(土) 10:00~12:30 終了 座学(葉)、春の薬草茶づくり(デモンストレーション) 講座料金:4,800円動画クラスはこちらからどうぞ② 6/23(火)、6/27(土) 10:00~12:30 終了 座学(花)、夏の薬草茶づくり(デモンストレーション) 講座料金:4,800円③  7/7(火)、7/11(土) 10:00~12:00 終了 どくだみの一日(どくだみ座学、軟膏とティンクチャーづくりのデモンストレーション) 講座料金:2,300円④  8/4(火)、8/8(土) 10:00~12:00 終了 よもぎの一日(よもぎ座学、よもぎオイルづくりのデモンストレーション) 講座料金:2,300円⑤  9/8(火)、9,19(土) 10:00~12:00 終了 座学 森と海と空と私たち~繋がりのお話 講座料金:3,800円⑥  10/6(火)、10/10(土) 10:00~12:00 終了  座学 実と種  講座料金:3,800円⑦ 11/10(火)、11/14(土) 10:00~12:00 終了  座学 樹木  講座料金:3,800円⑧ 11/24(火)、11/28(土) 10::00~12:00 終了  座学 植物のネットワークについて  講座料金:3,800円⑨ 12/8(火)、12/12(土) 10:00~12:00 終了  座学 植物と蜂と私たち  講座料金:3,800円⑩ 1/12(火)、1/16(土) 10::00~12:00  終了  座学 暦~宇宙の巡りと私たち~  3,800円⑪ 2/2(火)、2/6(土) 10:00~12:30 終了  よもぎ温灸とよもぎのクレイパック(よもぎ、季節のツボなどについての座学、もぐさづくり、よもぎ温灸とよもぎクレイパックのデモンストレーション)  講座料金 2,300円⑫ 2/16(火)、2/20(土) 10:00~12:30 ※お申し込み受け付けは終了いたしました。  紫雲膏づくり(原料の薬草についての座学、紫雲膏づくりデモンストレーション)  ※紫雲膏の材料となる生薬と、山口県産残留農薬ゼロのミツロウ、保存用の遮光瓶のセットを二つ分、事前にお送りします。原料のオイル、油用の温度計などは各自ご用意ください(詳細はこちらのページの後半に書いてあります)  講座料金4,500円全12回セット料金:42,000円(終了証をお渡しします)終了時間は目安です。前後する場合がございます。講座終了後、収録した講座を4週間間限定公開いたします。復習にお役立てください。当日ご都合がつかない方は、講座終了後4週間限定の録画データでの受講も可能です。(過去の講座につきましてはこちらからどうぞ。)▶プログラム詳細*********************************************************** 座学  葉、花、実・種について***********************************************************